SIerとは【現役SEが解説】
IT業界で就職活動や転職活動をしていると必ずと言っていいほど、目に入ってくるキーワードが「SIer」だと思います。
この記事では、IT業界としてのSIerの立ち位置、業界について理解できる内容となっています。
就活や転職活動での業界分析や志望動機を考える際に必ず役に立つ内容ですので、是非読んでみてください。
SIerとは
SIer(システムインテグレーター事業者)とは、社内にシステムを開発するエンジニアを持っていない企業から、システム開発の依頼を受けて開発する事業者のことを言います。
主に、お客様の業務の効率化を目的にシステムを提供することをビジネスとしており、提供したシステムの運用保守なども行うトータルサポートを行う事業者もあります。
業界の市場規模は11兆円で、今後も伸びていく業界といわれています。
今後は、IoT、AI、RPAなどを取り入れたシステムを提供すると言われています。
業界では、顧客の業務知識なども必要で、顧客との要件定義などでコミュニケーションをとる機会が多いことから、文系出身のエンジニアも多数います。
募集要項などで、文系でも歓迎と記載されているのは、この理由だと考えられます。
SIerの仕事内容
納期間近では、残業時間が多くなることも多々あります。また、多数の顧客を抱えることから、運用保守の作業量も多いです。
SIerとWeb系の違い
IT業界では、似た職種でWeb系の会社も存在します。 違いを簡単な図にしてみました。IT業界の分析で重要な内容です。
| SIer | Web系 |
---|---|---|
開発対象 | 顧客のシステム | 自社システム |
納期 | 厳しい | 緩い |
開発言語 | Java,VB,ABAPなど | PHP,Ruby |
開発対象
大きな違いとしては、SIerは、顧客のシステムを作る仕事、Web系は自社のシステムを作る仕事です。ここが一番大きい違いになります。
納期
顧客システムを作るSIerは、やはり納期が厳しくなります。お金をもらって作る場合と社内のシステムを作る場合では、明らかに責任のかかり方が変わりますよね。また、納期が厳しいことから、納期前は残業時間が多くなりやすいです。
開発言語
SIerでは、Java,VB,ABAPなどの言語を使用することが多いです。理由としては、業務系のシステムを作ることが多いからです。Javaでは、大規模な基幹システムを構築する際にしようされたり、ABAPは最大手のSAP社のパッケージをカスタマイズするときに使用されます。
Web系では、PHPなどWeb画面に特化した言語を使用することが多いです。
顧客から依頼されたシステムを作るSIerでは、納期に厳しい傾向にあります。
業界の構造
業界の全体の構造から事業者の種類について説明していきます。SIerの業界分析では、重要な内容です。
業界の全体の構造
構造は図のような構造になっており、大手が一般企業から仕事を受け、中堅に仕事を依頼し、中堅が孫請け会社に依頼するという構造になっています。
なぜ、このような構造になるかというと、大手とはいえ、システムを作る際にすべての技術を持っているとは限らないからです。
技術がないからと言って、社内で行うと、教育費用が掛かるため、外注(アウトソーシング)することが多いです。
大手はSEの時間当たりの単価(人件費)が高いため、基本設計(上流工程)という工程だけ行い、製造(プログラミングなど)工程(下流工程)は、中堅に依頼するということは、よくある話です。
事業者の種類
事業者は大きく分けて3つのグループがあるので、そのグループについて説明していきます。
ユーザー系とは
ユーザー系は、親会社が持つ業務知識を基に提案ができる事業者のことを言います。
具体的な企業名でいうと、野村総研、伊藤忠テクノなどがあげられます。
野村総研といえば、グループ会社で野村証券などの金融に精通した会社を持っているので、金融業に特化した提案をすることができます。金融系のシステムを作るときに、金融業について知らない人に頼むより、金融業に精通した人に頼む方がうまくいきますよね。
伊藤忠テクノといえば、親会社に商社を持つ会社ですので、商社系システムの提案に特化したシステムを提案することができます。
さらに詳しく知りたい方は、別記事に記載しているのご覧ください。
メーカー系とは
メーカー系は、自社のハードウェアとソフトウェアと合わせて提案することができる事業者のことを言います。
具体的な企業名でいうと、日立、富士通などがあげられます。
日立では、自社でサーバなどの製品を持っているので、サーバとセットで提案をすることができます。
例えば、サーバが壊れた時に日立に言えばすべてサポートしてもらえます。これは、いざという時に安心ですよね。
さらに詳しく知りたい方は、別記事に記載しているのご覧ください。
独立系とは
独立系は、親会社などを持たない事業者ですので、中立的な提案をすることができる事業者です。
具体的な企業名でいうと、 大塚商会 やオービックなどがあげられます。
これだけ聞くと独立系のメリットがないように見えますが、メーカー系事業者ですと、ハードウェア面でも手厚いサービスを受けることができるのですが、そこまで手厚いサービスはいらないなっていう時に、独立系ですと提案を受けやすくなります。
さらに詳しく知りたい方は、別記事に記載しているのご覧ください。
まとめ
SIer業界は階層が分かれており、大手、中堅、孫請けの階層になっていることを説明しました。
上流工程(基本設計)をやっていきたいと思う方は、大手SIer、下流工程(プログラミングなど)をやっていきたいという方は、中堅SIerに行くことをお勧めします。
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